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アズロク 


 メダロット7小話。アズマ×ロクショウ。
 ロクショウにとってアズマは息子みたいな感覚なんだろうなあっていう。





 自分にとってのアズマは、3歳の頃から変わらない。
 泣き虫で気分屋でどうしようもないくらいわがままな、どうしようもなく愛しい存在だった。再び出会った今では、少しは落ち着いたようだけれども。根本は変わっていない。ああ、この子はあの頃のままなのだと。少し呆れた反面、安堵した。甘えたなところも変わっていない。ロクショウ、ロクショウ、と名前を呼びながら後を追っかけ回していた3歳児と変わっていない。なにか困ったことがあるとすぐに自分を頼ってきた姿を見て確信した。それにはやはり呆れたが、安堵して、愛おしく思った。
 これがニンゲンの言う「母性本能」というものなのかもしれない。
 決して言葉にはしないが、そんなアズマが可愛くてしかたがない。昔は自分も未熟だったから幾度となくキレそうになったが、改めて思えば可愛いものである。どれだけ自分に依存していたのだろう、この子は。今ではトモダチがずいぶんと増えたにも関わらず、やはり呼ぶのは自分の名前なのだ。
 アズマ、お前は本当に甘えただな。どうしようもないやつだ。まったく。3歳の頃からなにも変わっていない。だからワタシはお前を放っておけないのだ。



「んっ、ん…っ、ぐぅっ!!」
 ガツガツと固い音が部屋に響く。ベッドには、白いメダロットに被さる子供の姿。
 アズマはロクショウを組み敷き、ひたすらその白いマスクに噛みついていた。噛みつくようなキスを、何度も繰り返していた。
 ロクショウはただただ現状が信じられなくて、マスクに何度もぶつかるアズマの歯が欠けやしないかと少々場違いな心配をする。突き飛ばすとか、蹴り飛ばすとか、そんな選択肢は浮かびやしない。それほど、アズマの眼差しが真剣だ。真っ直ぐ自分を見据えて放さない眼差しに気圧されているのかもしれない。
 自分はメダロットなのだから息継ぎなど必要ないのに、アズマに噛みつかれる(キスをされている、とはとても思えない。捕食されている気分になる)度に音声が苦しく漏れる。
 苦しい、苦しいぞ、アズマ。何故だ、何故。
「ロクショウ」
「ん、ぁ…ず、ま」
「ロクショウ!」
「んんっ」
 熱ぼったいアズマの眼差しは、間違いなく欲情した雄のものだ。この子がそんな目をするのには、まだ早すぎるのではないか。それに、それに。
「すき」
「ん、あっ、ぅうっ」
「好きだよ、ロクショウ」
「あずま、アズマッ」
 アズマの「好き」は、ワタシのこの子への「好き」とは明らかに異なっていた。
 アズマ、ワタシはそれを受け入れられない。
 アズマ、ワタシはそんなお前は知らない。
 アズマ、アズマ、アズマ。
「ダメだ、アズマ」
「ロクショウ?」
 タイミングを見計らって、首をなんとか横に振って拒絶を示す。それに、ただただアズマは不思議そうに首を傾げた。
「アズマ、ワタシは」
「オレはロクショウのこと、好きなのに。ダメなの?」
 ガリッと固い音と同時に鈍い痛みが口元から走る。また噛みつかれたようだ。
 ガリガリガリと、齧歯類が木を歯で削るような硬質な音が低く響く。痛い、痛い、痛い。鈍い痛みが痛覚センサーを伝って体を痺れさせる。
 ぬとり、とアズマの小さな唇から銀糸が伸びて自分のマスクに繋がっているのが見えた。唾液でてらてらと光っているのは、きっとこの子の唇だけでなく自分もだろう。
 ぺろりと唇を舐めながら、アズマは笑う。やけに大人びた、でもうっすらとちらつく幼子の笑み。
「ロクショウ、オレはね。いつまでも3歳じゃないんだよ?」
「アズマ」
「ロクショウが知らないオレも、ちゃあんといるんだよ?」
「アズ」
 ちゅう、と柔らかい音と感触が続く。さきほどまでとは違う、ちゃんとしたキスだ。
「ロクショウにね、知ってほしかったんだ。今のオレのこと。だってロクショウ、いつまでもオレを3歳扱いするんだもん。今すぐ全部、なんて言わないからさ。これから、これからだよ。これから少しずつ、ゆっくりゆっくりオレを知っていってほしい。それで、その時でいいよ。そのときになったら、オレの気持ち、受け取ってくれる?」
 なんて、柔らかく笑って言われたら。突き飛ばすことなどできるわけもなくて。
 ロクショウは何も言わず、一度だけ小さく頷いた。

――
 LIKEとLOVEの違い。

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